新時代の野球②〜野球に関する様々な指標〜

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こんにちは、Kyutaです。

ベイカルブログでは野球の「知識」や「考え方」についての情報発信をしています。

指導者
指導者

レギュラーメンバーを選考するときにどのような基準で選考したら良いのか教えてほしんだ!

Kyuta
Kyuta

それはどのチームも抱えてる悩みだね。今回はその悩みを解決するために、野球に関する様々な指標を紹介するよ!!チームにどれだけ貢献しているかを数値化することで選手、指導者が納得のいくメンバー選考ができるよ!!

今回は投手・打者・守備・走塁の指標を紹介するよ!指導者の方は必見の内容です!!

 



投手の指標

WHIP

Walks plus Hits per Innings Pitched

設計思想
「投手が打者を出させないほど失点は減少する」という考えに基づき、1979年にダニエル・オクレントが提唱。

定義
 投球回数あたりの投手が許した走者の数を示す。

情報
 計算が簡単で、先発か救援かの区別なく、後手の「失点を防ぐ能力」を示す指標として有用とされてきたが、失点に多分な影響を与える野手の守備力や運の要素は考慮されていない。そこから、ボロス・マクラッケンによる、投手の能力は守備の影響とは独立に評価する「DIPS」という概念の提唱につながっていく。

FIP

Fielding Independent Pitching

設計思想
 マクラッケンが提唱した、投手の能力は複本塁打数、与四死球数、奪三振数だけで評価すべきという画期的な概念。DIPS (Defense Independent Pitching Statistics) の理念をもとに、トム・タンゴが1999年に考案。

定義
 被本塁打数と四死球数(敬遠を除く)から奪三振数を引いたものを投球回数で割る。

情報
「DIPS」の理念に基づく指標では最もよく用いられている。ただし、被本塁打は球場の大きさなどにも影響されるため、外野に打たれた打球に対する被本塁打の比率を用いて算出する、FIPの変化形「xFIP」も提唱された。
 xFIPは被本塁打の項を
外野フライ×リーグのフライボールに対する被本塁打の割合
に代えて算出する。

tRA

true Runs Allowed

設計思想
 FIPと同様に守備の影響をできるかぎり排除しつつも、FIPでは排除していた本塁打以外のインフィールドに飛んだ打球も、ゴロかフライかライナーかといった打球の種類にまで踏み込んで投手を評価する指標。守備が平均的なレベルであると仮定した場合の失点率を示すために、2009年にグラハム・マカリーが考案。

定義
 与四死球、三振、本塁打、ゴロ、内野フライ、外野フライ、ライナーに、それぞれの得点価値をもとに仮想的な失点数と仮想的なアウト数を与えて、以下の計算で求める。

「仮想的な失点数」「仮想的なアウト数」「定数」は以下の式で定義される

仮想的な失点数
 =0.297×四球+0.327×死球−0.108×奪三振+1.401×被本塁打+0.036×ゴロ−0.124×内野フライ+0.132×外野フライ+0.289×ライナー

仮想的なアウト数
 =奪三振+0.745×ゴロ+0.994×内野フライ+0.675×外野フライ+0.304×ライナー

定数

情報
 tRAに比べて失点の度合いが大きい投手は、守備に足を引っ張られている、といったことがわかる。守備とは独立に投手を評価するというFIPの基本思想をよりきめ細かくした拡張版と位置づけられる。

RSAA

Runs Saved Above Average

設計思想
 FIPやtRAが、その投手が1試合あたりに「どれだけ失点するか」を表すのに対し、1試合あたりに「平均的な投手と比べてどれだけ失点を防いだか」を表す指標。

定義
 リーグ平均の失点率と、その投手の失点率の差を1試合(9イニング)あたり何点になるかに換算。

情報
 投球イニングが増えるほど数値が大きくなるので、多くのイニングを投げたことも評価できる。ただし、失点率をベースにしているため野手の守備力や球場の影響を受けやすく、投手の能力より結果を評価するのに適している。
 失点率のかわりに防御率をベースにした「Pitching Run」や「FIPベースのRSAA」「tRAベースのRSAA』もある。
 RSAAをもとに「平均的な投手に比べてどれだけ勝利をもたらしたか」を表す「RSWIN」(Runs Saved Win)も考案された。



打者の指標

OPS

On-base Plus Slugging

設計恩想
 打撃でのチームへの貢献度を測る指標として、出塁率(On-base-percentage)は単打や四球が本塁打と同じ評価となってしまうために長打率(Slugging percentage)が考案され、さらに両者を単純に足した値が、ビル・ジェームズ、ピート・パーマーらによって新指標として提案された。1984年にパーマーらの著者で言及されている。

定義

出塁率+長打率

情報
 単純だが、それまでのどの打撃指標よりも得点との相関が高く、現在、MLBでは打者の公式記録として採用されている。NPBでも、最も知られているセイバーメトリクスの指標の一つである。ただし出塁率と長打率を1:1で加算すると長打率が過大評価されるという弱点もあるため、修正版として「NOI」(出塁率3:1長打率)、「CPA」(出塁率1.8:1長打率)なども提案されている。
 また、OPSはシーズンによって平均値が変動するため、発展形として、リーグの出塁率と長打率の平均値からの傑出度を測る「OPS+」が提案された。

wOBA

weighted On-Base Average

設計思想
 打者が1打席あたりにどれだけ得点創出に貢献しているかを測るため、2007年にトム・タンゴらが提案。OPSのように単純に出塁率と長打率を足すだけでなく、四死球、単打、長打など、出塁のしかたに応じて細かく得点価値の重みづけをして加算する。失策出塁にも価値を認める。

定義
 四球(敬遠を除く)、死球、単打、失策出塁、二塁打、三塁打、本塁打に、それぞれの得点価値をかけて重みづけした数値を加算し、打数+四球一敬遠+死球+犠飛で割る。
NPB版のwOBAは

{0.691×(四球−敬遠)+0.720×死球+0.870×単打+0.946×失策出塁+1.323×二塁打+1.684×三塁打+2.142×本塁打}
/(打数+四球−敬遠+犠飛+死球)

情報
 平均的な打者のwOBAが平均出塁率と同じになるように、係数(wOBA scale)をかけて調整する。
 リーグを代表するレベルの打者のwOBAは、400以上になる。得点との相関は強く、OPSを上回る。変化形として、平均的な打者よりどれだけ得点を増やしたかを測るwRAA、打席数の評価を強めたwRCがある。

wRAA

weighted Runs Above Average

設計思題
 リーグの平均的な打者が同じ打席数を打った場合より、その打者がどれだけチームの得点を増やしたか(減らしたか)を、wOBAをベースとして測る。打撃成積を得点に換算することで、打者の得点貢献度を見えやすくする。

定義
 その打者のwOBAが、リーグ平均のwOBAよりどれだけ保出しているかを係数(wOBAscale)で割り、その打者の打席数をかける。

情報
 得点のかたちで表せるので、打者の貢献度がイメージしやすい。また、打席数が増えるとwRAAの値も大きくなる設計になっているので、出場数でチームに貢献する選手も評価できる。打者の得点貢献度を測るのに非常に有効な指標である。ただしwOBAが平均値の打者のwRAAはゼロになってしまうので、1打席立つごとにリーグの1打席あたりの平均得点を加味するwRC (weighted Runs Created)が考案された。

RC

Runs Created

設計思想
 OPSやWOBAなどは、盗塁などの走塁能力や、犠打や犠飛などの走者を進させる能力は考慮に入れていないため、1985年にビル・ジェームズが、これらの要素も測れる、より理にかなった得点創出能力の指標として考案し、著書の中で発表した。

定義
 提案当初の基本構造は、

情報
 打席数が多いほど数値が顕著に大きくなるため、打席数を均等化した変化形も提案されている。その一つ、RC27は、1人の打者が27のアウトを取られるまで打席に立ち続けたら何点取れるかを示す指標で、1974年の王真治のRC27は14.98である。

守備の指標

RF

Range Factor

設計思想
「エラーをしない守備」より「アウトを稼げる守備」を評価するため、1977年にビル・ジェームズが考案した指標。守備範囲が広く、積極的にアウトを取りにいく選手ほど、RFの数値が高くなるように設計された。

定義
 選手が1試合(9イニング)にどれだけアウトに関与できたかを示す。

情報
 RFが高い選手ほど、実際に安打性の打球をアウトにできる可能性が高いことが評価されて、RFはMLBでは公式記録に採用されている。NPBでは守備イニングの公式記録発表がないため、守備イニングのかわりに守備試合数を使う簡易RFが用いられることが多い。

 ただしRFは、投手の三振奪取能力や打球がゴロかフライかの比率などに影響されるため、それらを補正したRRF(Relative Range Factor)が考案されている。
 また、RFは守備位置が違う選手どうしでは比較することができない。

UZR

Ultimate Zone Rating

設計思想
 RFより客観的な守備指標をめざし、受け持ちのゾーン(守備範囲)に飛んできた打球をどれだけ処理できたかを示すZR (Zone Rating)が1977年頃に考案されたが、ZRは打球の難易度やファインプレーが考慮されなかった。そのため、これらに加え、内野手なら併殺能力、外野手なら肩の強さも考慮して「平均的な選手よりもどれだけ失点を減らしたか」を示す指標として、2001年にミッチェル・リクトマンらが提案。WRAAやRSAAのように得点に換算される。

定義
 基本構造は、

守備範囲+失策しない能力+併殺奪取能力+肩の強さ

 守備範囲を細分化し、ゾーンごとに打球の難易度を割り出したゾーンデータを用いて、すべてのゾーンにおける守備範囲ポイント(打球処理の結果に得点価値をかけたもの)を合算する。難易度が高い打球をアウトにすれば高いポイントが加算されるが、簡単な打球をアウトにしてもポイントは増えない。内野手では平均に比べた併殺奪取数、外野手では進塁を許さない抑止力と補殺数も加算。

情報
 非常に信頼度が高い守備の指標といえるが、算出者の計算コンセプトの違いや、ゾーンデータの取得のしかたの違いによって数値にばらつきが出るという弱点がある。

走塁の指標

wSB

weighted Stolen Base Runs

設計思想
 リスキーな戦術である盗塁は成功数だけでなく成功確率にも着目すべきという考えから提案された指標。シーズンを通して、その選手の盗塁によって平均的な選手の盗塁よりもどれだけ多くの得点を生みだしたかを表す。

定義
wSBの定義式は、

盗塁の得点価値×盗塁数+盗塁死の得点価値×盗塁死数−リーグwSB×(単打+四死球−敬遠)

であり、これに盗塁と盗塁死の得点価値を入れて、

0.173×盗塁数−0.407×盗塁死数−リーグwSB×(単打+四死球−敬遠)

となる。リーグwSBは以下で計算する。

情報
 wSBがプラスになる分岐点は、盗塁成功率70%になる。したがって、どれだけ盗塁数が多くても、成功率が70%を下回っていれば、wSBはマイナスとなり、チームの得点創出能力に損失を与えていることがわかる。wSBはそうした盗塁という戦術の本質を明らかにした指標といえる。

UBR

Ultimate Base Running

設計思想
 走塁技術を生かしたチームへの貢献は、盗塁のほかにもさまざまにある。それらを得点価値として集計し、いわば「足で稼いだ得点価値」を評価するための指標。

定義
 平均的な走者と比較して、そのランプレーによってどれだけ得点期待値を高めたかを集計する。DELTA社では、以下の状況を評価対象として計算している。
  走者一塁からの単打
  走者二塁からの単打
  走者一塁からの二塁打
  走者三塁からの外野フライ
  走者一塁からの内野ゴロ
  走者二塁からの内野ゴロ
  走者三塁からの内野ゴロ
  走者一塁からの外野フライ
  走者二塁からの外野フライ
 これらの状況における進塁、タッチアップ、併殺崩しが評価の対象となっている。

情報
 NPBのデータサイト「1.02 Essence of Baseball」では、wSBとUBRを合計した「BsR」(Base Runs)を走塁の総合指標としている。MLBのデータサイト「FanGraphs」では、WSB とUBRに「WGDP」 (weighted Grounded into Double Play Runs) を加算したものを「BsR」として集計している。wGDPは足の速さによってどれだけ併殺を回避することができたかを示す指標である。



総合指標

WAR

Wins Above Replacement

設計思想
 選手の価値をポジションによらず、総合的に評価することを目的とする指標。その選手によってチームに上積みされた勝利数によって、選手の貢献度を測る。

定義
WARの基準
その選手と同じ出場機会分を「最小のコストで代替可能な控え選手」(リプレイスメントレベルの選手)が出場した場合に比べて、どれだけチームの勝利数が増えるか

WARの構成
攻撃評価+守備評価+守備位置補正+投手評価+代替水準対比価値

情報
 選手を総合的に評価する指標として最もよく用いられているのがWARである。違うポジションの選手を一つの物差しで評価できるため野手と投手の比較も可能であり、打者と投手の両方で貢献がある選手も、それぞれのWARを加算すれば評価できる。
 たとえば投手指標は、MLBでは、「FanGraphs」はFIP、「BaseballReference」は対戦チームを考慮した推定失点xRAを用いている。日本では、データシステム社、DELTA社ともにtRAを用いている。攻撃評価については、基本的に打撃と走塁による得点価値を示す指標を用いるが「Baseball Reference」では併殺打も評価対象となっている。

まとめ

 今回の記事では野球(投手・打者・守備・走塁)に関する様々な指標ついて紹介しました。

 様々な指標を活用し、数値を知ることでレギュラーメンバーを決定する際などに役立てることができます!そして、指導者・選手共に納得のいくメンバー選考ができるようになると思います。

ぜひ皆さんも指標を活用してみてはいかがでしょうか。

新時代の野球を作るのはあなたです!野球の考えをアップデートしていきましょう!!

Let’s enjoy baseball♫

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